【2024年度卒】新入社員の傾向と育成のポイント:Vol.2
更新:2024.07.01
弊社実施の2024年度の新入社員研修に参加された受講者様 約1500名からみる、今年の新入社員の傾向と育成ポイントを、2回に渡り現場講師の視点からお伝えしています。
講師から見る今年度の新入社員の特徴は、「素直で真剣」「タイパ重視」「何でも質問する」「受容力が高い」。
3.何でも質問する(答えがすぐにほしい)
タイパ重視の特徴にもつながりますが、ネットで即座に正解を検索できる時代を過ごしている彼らは、疑問に思ったことはひとまずすぐに答えを知りたい傾向にあります。研修内でも手を上げて質問をする人が多くいました。人前で質問をしづらい人も、休憩時間に「質問いいですか」といくつも尋ねに来ることが多かったです。
- ①仕事を上手く進められるように知らないことがないようにしておきたい
- ②ネットで調べた結果と講師の言ったことに相違があるのでどちらが正解か(又はどちらも正解なのか)を確認したい
- ③失敗しないように知識として入れておきたい
などが質問をする主な理由のようです。講師をネットと同じ感覚で、「何でも聞いたら答えが出てくる」ととらえているようでもあり、自身で考えたら答えを想像できそうなことでも聞きに来ていました。
「“お疲れ様です”と“お疲れ様でした”はどう使い分けるのですか」、「現場研修で先輩が机にひじをついて電話をとっていましたが、相手に良い印象の声が出せればどんな姿勢で電話をしてもいいですか」、「お客様がお子様連れだった場合、お子様にも敬語を使わなければいけませんか」、「上司が近づいてきた際、相手の目を見れば座ったままでもいいですか」、「絶対にやってはいけない失敗は何ですか」など、ピンポイントの場面やとても細かい質問などが多くありました。
“自分で考えることなく何でも聞いてしまう”“イレギュラーが起きる背景やその際に優先させるべきことへの想像力が乏しい“などの特徴が課題としてあげられます。
そんな彼らへの育成方法のポイントは…
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①正解を渡すものと考えさせるものをすみわける
すべての質問に答えていたら、指導者側が多くの時間を割かなくてはならなくなりますし、新人本人も考えない人材になってしまいます。
仕事の手順や社内ルールなど“正解を提供できるもの”と、顧客対応や自身の目標設定など“自分で考えて答えを出してもらいたいもの”を明確に分けて伝えていくとよいです。
“あの人は気分で教えてくれたり教えてくれなかったりする”ととらえられないように、理由を説明して考えさせましょう。考えた結果についてはしっかり聞き、フィードバックを行います。
4.受容力が高い(どんな人も受け入れようとするがそれゆえの悩みも…)
今年度は本当に様々な方がいらっしゃいますが、行動面では大きく2つの傾向にわかれました。一方は“受け身で流れにそって行動しようとする人”で、もう一方は“自らの判断で発信し行動しようとする人”です。オンライン授業特有の“相手の話を最後まで聞き、順番が回ってくると発言する”という、ある意味秩序があり、待っていたら自分の順番が必ず回ってくるというコミュニケーションの取り方が心地よかった人はそれを継続し、それに対して息苦しさを感じていた人は、対面環境になったことで反応・発信のスピードを上げ、するべきことやしたいことを自己判断し行動するようになりました。研修中のディスカッションやワークでは、どんな人がメンバーにいるかで、結果や発表内容に大きな違いが出ました。
序盤はお互いの発言やスタイルを尊重しながらコミュニケーションをとっていました。また、多少主旨と違う発言をする人がいても「そういう考え方もあるよね」「私には思いつかないから新鮮」と感じの良い雰囲気で会話が続きます。しかし時間の経過とともに、前者は発表や発言、チャレンジの機会が後者におされて均等に巡ってこないことに不安を感じ始め、後者は自己判断の範囲が広がり、チームメンバーと確認することなく「うちのチームはこうします」と公言してしまったりするなど、次第に暴走していきました。
受け身の行動にとどまる人は、“チャンスは与えてもらえるものだ”と思っている傾向にあり、“次は私にやらせてください”、“私がやりたいです”という発信が出てきません。自己判断をしている人は、大局が見えずどこまで自己判断してよいのかの線引きが出来ていません。多様性が取り上げられる時代の流れの中で、彼らは“どんな人でも受け入れていきましょう”という教育を受けていますが、それが一部の人には、“自分を受け入れてもらうためには、どんな人でも受け入れなくてはならない”と作用し、「ちょっとおかしいと思います」という一言を言いづらくさせているように感じました。
そんな彼らへの育成方法のポイントは…
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①褒めて育てる
ついていこうとする人も、飛び出ようとする人も、根本は素直で一生懸命です。意見を否定されたり、間違いを指摘されたりするよりも、頑張ったこと、出来たことが承認され褒められることでモチベーションがあがります。「どうしてそれをしようと思ったの」と尋ね、考えてみたことを承認・褒めるすることをしていくとよいです。
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②自ら発信し行動するよう育成する
待ちの姿勢の人には目標設定をさせ、目標達成に向けて何をしていけばよいのかの具体的ステップを作らせ進捗させます。G-PDCAの作り方や回し方を伝え、“主体的に行動する”とは具体的に何をすることなのか、を折に触れ伝えていきましょう。“言われたことを自ら率先して行う”だけではなく、“言われていないことの中から自らできることを見つけ、やってよいか相談する”が出来るようになるよう行動させていきましょう。
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③自己裁量がどこまでなのかを明確に伝える
自己判断で動く人は、横並びでの育成はストレスを感じます。どんどんとチャンスを与えるとよいです。但し、組織の一員としてのルールやモラルを守り、協調性ある態度をとる必要性と理由も伝え、どこまでを任せて、どこからは相談や連絡が必要だという線引きを明確に伝えることが必要です。
まとめ
学生時代に大きな変化と適応を求められた彼らが、いかに組織に対して帰属意識を持ち、即戦力として活躍していくのか、それには受け入れる側の組織的な支援と環境整備が必須です。育成担当者が一人一人と丁寧に向き合い「個」を理解して対応していくこと、新入社員がそれぞれにあったキャリアデザインを描き、モチベーション高く仕事に励めるようになること…そのためには育てる側の指導力、対応力、コミュニケーション力、倫理観などが求められます。組織の繁栄のためには育てる側のスキルアップも必要です。育成担当者一人に任せるのではなく、組織全体で人財育成に取り組んでいきましょう。